A-PETシートの材料の擦れについて
A-PETのシートを取り扱う際の注意点に”霜降り”というものがあります。霜降りとは、シートがお肉の霜降りのように部分的に白くなってしまう現象のことをいいます。(写真1参照)
これは、シートの表面にアンチブロッキング剤(AB剤)といわれる鉱物が練り込まれているためについてしまう摩擦傷になります。プラスチックシートは、平滑で積み重ねると互いに密着して簡単に剥離できない状態になります。これをブロッキングといいます。ブロッキングを防止するには、フィルム表面を粗くして接触面積を少なくする必要があります。その方法としてアンチブロッキング剤(AB剤)を練り込む方法が、コストと性能のバランスの点から最も一般的なものとして採用される場合が多くなります。そのため前述のような現象がおきてしまいます。
A-PETシートを取り扱ううえでの注意点
エヌプラスシートなどのA-PETシートを含むプラスチックシートは、その物性上、加工時や搬送時のキズの付着は避けることができない側面があります。そのため作業時のお取り扱いは、お客様へも最新のご注意を払っていただくようにお願いさせていただいております。以下にキズ防止を中心に工程ごとのご注意点について記載させていただきます。
取扱い事項
1.裁断工程
(1)キズ付着防止
①キズが付着しやすいので、丁重にお取り扱いください。
②シート同士やシートより硬いものとの接触がキズの原因になります。
③シートを裁断機へセットする際は、残りのシートの上や裁断機の台上で必要以上に滑らせたり、強く擦らないようにして、持ち抱える様にして行ってください。(強く擦らせるとシート接触面の上下1枚に必ずキズが混入してしまいます。)
④シートを次工程に移動させたり、別の場所に搬送する際は、積重ねのシートが擦れて動くことがない様、擦れ防止の処置をしてください。
⑤シートの解かしを行う場合は、シート間に十分な空気を送り込みシート同士が強く擦れない様にしてください。
(2)その他
①裁断作業場の室温は、15℃以上にしてください。(特に冬季期間)
②シートは、充分室温になじませてから、裁断を実施してください。(特に冬季の結露防止)
③シートの寸法・直角制度不良発生防止の為、裁断機のクランプ部(シート押え)に、緩衝材などを取り付け、シートがしっかり固定できるような措置を実施してください。
2.印刷・抜き・貼り工程
(1)キズ付着防止
①給紙部でのシート同士の過度の擦れや、ロールとベルトの接触がキズの原因になります。
②過度のキズ付着が認められる場合には、付着原因部を特定し、キズ防止対策を取ってください。
(例:シートとの接するロール面に紙テープ等を貼る)
③自動給紙機構付き高速貼り機をご使用される場合
・キズは、給紙部のシャッター部で付着する場合が多いので、シートに直接接触するシャッター部に紙テープを貼るなど、キズ防止対策を実施してください。
・貼り工程の給紙速度は、3500から6000枚/hr程度が標準です。キズの付着レベル等考慮に入れ、給紙速度を調整してください。
・給紙部への貼りの原反のセット(積重ね)枚数は、形状、大きさにより可能数が異なりますので、最適枚数を確認の上、作業に入ってください。(積重ね枚数は多くなり過ぎると、自重が大きくなりシート同士の摩擦抵抗が大きくなるため、シャッター部でのキズ付着が大きくなります。)
④シートは次工程へ移動させたり、別の場所に搬送する際には、積み重ねたシートが擦れて動くことがない様、擦れ防止の処置を実施してください。
3.製品検査工程
(1)キズ付着検査
①最終工程では、キズ付着の検査をしてください。
・クリアケース加工は、数多くの工程や横持ち移動があり、一定レベルのキズ混入は避けることができない側面があります。最終工程では、外観検査(キズ)も併せて実施して頂きますよう、お願いいたします。
・状況により、限度見本を作成するなどして、管理いただきますよう、お願いいたします。
②ケース製品の梱包方法
・数十ケースごとに重ね合わせ、紙テープなどで結束し、動いて擦れないように処置を実施してください。
・ケースを段ボール箱へ梱包する際は、擦れ防止のため、出来る限り縦積みにしてください。
以上
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